「営業の成績を上げたい、プロポーズを成功させたい、憧れられる男になりたい・・・人生の節目で勝負をかけたい時に着るのがスーツ。そんなお客様の気持に、僕たちは全力で応えたいんです。出来上がったスーツを着て、お客様が“目標達成”した時が何よりも嬉しい瞬間ですね」

そう熱く語るのは、ダガヤサンドウでオーダースーツ専門店「TOKYO TAILOR（東京テーラー）」を運営する、株式会社エレガンテ代表取締役の竹内伸和さん。“世界にひとつしか無い”オーダースーツづくりに込めた想いを伺いました。

「ずっとスーツが好きだった」
35歳で脱サラし、オーダースーツづくりの道へ

―シックな色合いが落ち着く店内ですね。まずは、「TOKYO TAILOR」を開業するに至った経緯を聞かせてください。

竹内さん「話を少し遡ると、僕の兄が起業家だったんです。なので、僕自身も20代の頃から独立したい気持ちがありました。サラリーマン時代から、スーツやファッションに関することが好きでしたね。
30代になると、自分でも事業を起こしてみたいという気持ちが強くなりました。ただ、やるのであれば、やはり自分が興味のある分野で勝負をしたい。行き着いた先が、ずっと好きだったオーダースーツという世界でした。

そこから様々な方々のご紹介を通じて、京都の有名なテーラー職人の方とお会いする機会に恵まれました。『本当にやる気があるなら修行に来い』。その言葉をいただいた瞬間に、京都行きを決断。僕が35歳のときでしたね。
『本当にスーツを愛している』『一度きりの人生、自分で勝負をかけてみたい』。この想いだけで、今までの安定した生活やサラリーマンという肩書を捨て、オーダースーツという世界に飛び込みました。そこからは、来る日も来る日もスーツづくりの修行に励みました。

2年間の京都での修行を経て、東京へ戻ってきたのが2014年。同年、TOKYO TALORの前身となる小さな店を外苑前に開業しました。37歳、まさにゼロからのスタートでしたね。
そして、2016年にここ千駄ヶ谷へ移転。2017年に赤保谷という新しいメンバーが加わり、今は職人と三人でTOKYO TAILORを運営しています」

竹内さん（右）と赤保谷さん（左）。二人の間のルールは「言いにくいことでも必ず言うこと」

「スーツは対話から生まれる」　こだわりは“メイドインジャパン”

竹内さん「生地はイタリアやイギリスのものがメインですが、製法は“メイドインジャパン”にこだわっています。京都で修行した際に、“日本のものの良さ”を肌で感じました。日本人の体つきには、日本人がつくるもの、そして何より、日本人同士の会話から生まれるものが大切であるということを学びました。“メイドインジャパン”にこだわりを持っていこうと決めましたね。

スーツはお客様との対話から生まれるものです。今は、ネットでもスーツをオーダーできる時代。そういう時代だからこそ、お客様と対話していくことが大事だと思います。

お客様がどんなシーンで、どんなお気持ちで着たいのかという具体的なイメージをすり合わせながら、お客様の全てをヒアリングする。その対話をもとに、僕たちがスーツを通じて全力で提案し、お客様の気持ちに応えること。それがTOKYO TAILORのスーツづくりで大切にしていることなんです」

オーダースーツは37,000円から購入可能。7～10万円価格帯の注文が多いとのこと。

「TOKYO TAILORは、スーツ自体を売る場所ではなく、
お客様の想いを具現化する場所」

―改めて、みなさんがスーツづくりで大切にしていることをお聞かせください。

竹内さん「スーツは体の寸法を測るという“数字だけの世界”ではありません。スーツづくりは、“対話の世界”。お客様と対話し、お客様の体に触れて作らないと、本当にいいスーツは出来ない。
TOKYO TAILORは、ただスーツ自体を売っている場所ではありません。営業の成績を上げたい、プロポーズを成功させたい、憧れられる男になりたい・・・スーツを通して、お客様の様々な想いや熱意を具現化する場所。出来上がったスーツを着て、お客様が“目標達成”した時が何よりも嬉しい瞬間ですね」

赤保谷さん「僕と知り合った方々が、スーツやジャケットを欲しいと思った時に、『赤保谷に相談に行ってみよう』と思われる存在でありたいです。どんなビジネスでも、最終的に行き着くのは“人”。竹内と一緒に、自分自身の存在価値を高めていきたいです」

「一度きりの人生、自分で勝負をかけてみたい」という想いだけで、オーダースーツという世界に飛び込んだ竹内さん。そして、その熱い気持ちに共感し“相棒”となった赤保谷さん。二人のゴールは、「まずは都内で3店舗の店を出すこと」だそうです。
一着のスーツで人生が変わるー。取材を終えた帰り際、オーダースーツを身にまとった二人の背中が、何よりも雄弁にその事実を語っていました。